仕事で失敗したときに役立つ6つの考え方;ヘッダー画像

仕事でミスをしたとき、大きな挫折を経験したとき、失敗して落ち込んでいるとき、そこから立ち直る方法は人それぞれかと思います。しかしながら、失敗したことをいつまでも引きずってしまう人と、つねに前を向いてポジティブに物事を考えることができる人がいます。

では、失敗しても前向きに考えられる人と、そうではない人の違いはどこにあるのでしょうか?チャレンジ精神を養うためにも、明るく元気に過ごすためにも、立ち直るコツというものがあるなら、ぜひとも知りたいものです。

そこで今回は「仕事の失敗をプラスに考える方法」について、いくつかご紹介していきたいと思います。仕事の失敗を経験してから立ち直るのが遅い、ネガティブな感情を引きずる事が多い、モチベーションが上がらない、と悩んでいる方々に少しでも参考にしていただけたらと思います。

スポンサーリンク

 

仕事で失敗したときの対処法

 

 

仕事で失敗したときに心を支える内発的動機

仕事で失敗したときに心を支える内発的動機

「あなたは何のために働いていますか?」。

こんな質問されたとき、みなさんはどんな答えを出すでしょうか?生きていくため、家族を養うため、自分の店を構えるため、好きな人を喜ばせるため、家を買うため、偉くなるため、旅行をするため。人によって「働く動機」は様々ですが、心理学には外発的動機と内発的動機というものがあります。

外発的動機とは、お金や評価、地位や名誉を得るために働くといった外的報酬からなる動機のこと。つまり、他者から与えられるモノによって、やる気を得ることを意味します。

内発的動機とは、熟達、充実感、達成感といった自分自身から生まれる内的報酬によって、やる気を起こす動機。「以前よりも効率的に仕事ができるようになった」や「給料は少ないけど、何事にも変えがたい達成感がある」、「自分が成長できていると感じられる」といった具合です。

心理学者のエドワード・デシは、立体パズルの実験によって、外的報酬からなる動機づけを調べました。2つのグループ分けられた被験者たちに3日間、当時人気のあった立体パズルを行ってもらいます。2日目、その内の1つのグループには、パズルを組み立てる度に、成功報酬として1ドル(現在の約6ドルに相当)を与えられました。

初日には両グループに目立った違いはなく、2日目に金銭的報酬を与えられたグループは、報酬なしのグループに比べて意欲的に取り組む姿勢が見られました。これは一般的な考え方からしてみれば、ごく自然なことだと言えます。外的報酬を得られるのならば、懸命に働くように。

しかしながら、注目すべきは実験の3日目です。報酬が与えられることのなかったグループは、1日目、2日目に比べさらに少し長い時間パズルに取り組むようになっていました。一方、2日目に報酬を与えられたグループは、3日目には報酬がないことを知ると、パズルに取り組む時間が減少し、あきらかに初日よりも作業に対する興味を失っていたのです。

何の報酬を与えられなかったグループのパズルに取り組む時間から分かるように、徐々に興味を示し、誰に指示されるわけでなく「効率よくパズルを組み立てたい」という内発的な動機づけがされたと考えられます。しかし、もう一方の報酬を得たグループは、パズルを完成させることが「金銭を得るため」という外的動機づけがされ、一時的には意欲的に取り組んだものの、3日目には初日よりも興味を失っていたと考えられます。

これが実際の仕事だと考えると、収入や地位といった外的報酬を動機としている人は、短期的には意欲的に取り組むものの、長期的なモチベーション低下が引き起こされるかもしれません。仕事の失敗を経験したときも同様に、「給料が下がる」や「降格させられる」といった外的報酬に大きく影響されることでしょう。

「自分を成長させたい」などの内的報酬を得るために働いている人は、仕事の失敗から大きなモチベーション低下をもたらすことなく、長期的にも意欲的な姿勢を持って取り組むことができると考えられます。つまり「内発的動機は仕事の失敗をしたときの心の支え」になることができる、と言えるはずです。

仕事の失敗から「やる気が起きない」や「モチベーションが上がらない」と悩んでいる方は、外発的動機づけがされていないか注目し、内発的動機づけを心掛けてみると良いかもしれません。「好きで始めた仕事」が、いつのまにか「お金のための仕事」に変わってしまっていないか、確認してみてください。

 

仕事の失敗を成長する糧にするためには

仕事の失敗を成長する糧にするためには

同じ仕事の失敗をしたとして、それを自分が成長するための糧とできる人、ネガティブな感情から自己評価を下げてしまう人、に分かれてしまうのはなぜでしょうか?心理学では、成功や失敗を経験したときに「その原因をどこに求めるか?」という考え方を原因帰属と呼んでいます。

例えば、同僚のA君が優秀過ぎるから自分の評価が下がる、上司に嫌われているから給料も上がらない、会社の評価基準が自分には合わない、といったように失敗の原因を外に向ける場合があります。このように失敗の原因を外的条件に求める傾向を「外的統計型」といいます。

反対に、自分の実力不足だから評価が上がらない、コミュニケーション能力が足りないから上司に嫌われる、会社にアピールできていないから評価が低い、などのように失敗の原因を自分の能力やスキルといった内的条件に求める傾向を「内的統計型」といいます。

外的統計型と内的統計型の人を比べた場合、自分以外の人やモノに原因を求めるよりも、失敗の原因を自分に追究する人の方が、良い成績を残しているというデータがあります。失敗の原因を自分に求めることで、冷静に問題点を把握することができ、失敗を成長するための糧に変えることができるのでしょう。

しかしながら、何でもかんでも自分のせいにすれば、やる気を引き起こせるとは限りません。「今の仕事に向いていない」や「本当に俺って才能が無いな」などのように、ネガティブな感情や自己嫌悪に陥ってしまうこともあります。

ポイントは「努力すれば改善できる点を見つけよう」とする姿勢です。適性や能力といった長期的な向上を目的とすることも重要ですが、今の自分が行える解決策を見つけることも同じくらい重要です。

営業の仕事をしているのであれば、外的統計型の場合、商品に魅力が無いから、会社のノルマが厳しすぎるから、と考えます。しかし、内的統計型は、商品に関する知識が足りなかったから、うまく商品の特徴を伝えられなかったから、などのように考えるはずです。

しかしながら、最近の傾向としてブラック企業という言葉をよく耳にするように、過剰なノルマ、長時間の残業、辞職させるための嫌がらせ、などが根本的な問題であることもあるかもしれません。そういった場合、個人で対処するにはあまりにも負担が大きいので、第3者の力を借りるなり、最初にお伝えした内発的動機を考慮して転職する必要はあるかと思います。

ともあれ健全な企業であるのなら、失敗は他人を批判するための材料ではなく、自分を成長させるための糧であると考えることです。それに加えて、自分の努力次第で改善できるポイントを見つけることができれば、失敗しても前を向く姿勢は保たれ、長期的なモチベーション維持に繋がるはずです。

 

仕事で失敗した結果よりもプロセスに注目する

仕事で失敗した結果よりもプロセスに注目する

結果にこだわることも大切ですが、仕事に充実感や喜びを持つためには、そこに至るまでのプロセスに注目する必要があります。また、自信を強めるためには、失敗するというリスクを冒しながら、困難な事に立ち向かおうとする姿勢が必要不可欠です。

失敗をしたことがない人などこの世に存在しません。むしろ、成功している人ほど、幸せを感じている人ほど、多くの困難を経験し、乗り越えているものです。チャレンジすることは「自分は失敗を恐れない、たとえ失敗してもすぐに立ち直れる」というポジティブな感情を育ててくれます。

運動をすれば鍛え上げられる筋肉と同じように、失敗に対処できる自信は「失敗すること」によって強くなります。また、実際に失敗を経験したときよりも「失敗するかもしれない」と不安に思っているときの方が心理的な影響は大きいとも言われています。

「いきなり挑戦するのは怖い」と感じているのなら、過去の経験の中で「思い切って挑戦したこと」を振り返ってみるのも良いでしょう。具体的に何をしたのか?そのとき何を感じたのか?失敗したことで何を得たのか?成功体験や過去の苦い経験と向き合うことで「今の自分ならこんな事ができる」と新たな可能性も見つけられるかもしれません。

さらに、この方法には、もうひとつの効果があります。それは「過ちを犯した自分を許せること」です。完璧主義者であるほど、結果ばかりに目がいってしまい、失敗した自分を責めるようになります。失敗することを「あって当然のこと」と認識することで、その出来事を成長するための糧として感謝することができるはずです。

仕事で大きな失敗をしたとして、お酒を飲めば忘れられるかもしれません、誰かのせいにして愚痴をこぼすことでストレス解消になるかもしれません。ですが、同じ問題に直面したときに対応できるのは「過去の失敗から学んだ自分」であるはずです。失敗したという結果に目を向けるのではなく、その過程で学んだこと、成長できたこと、改善できることに目を向けてあげてください。

 

減点法よりも加点法

減点法よりも加点法

成功体験を増やすことでポジティブな思考を育て、失敗を恐れずに挑戦し続けることができます。ですが、同じ言葉をかけられても人によって受け止め方に違いがあるように、同じ結果を残したからといって、それをどう自己評価するかも人それぞれです。

ポジティブになるためには物事を加点法で捉えることがコツです。日本人の特徴として、多くの人が減点法で物事を考えるため、失敗することのリスクを恐れる、挑戦することを諦める、無難に安全な道を選ぼうとする傾向にあると言われています。

学校のテストの結果が70点だったとしましょう。加点法で結果を捉えた場合「100点中70点も取れた」と考えます。一方、減点法の場合「30点もミスをした」とマイナス面に注目してしまいます。

仕事の場合も同様に、失敗の中から自分が成長できた部分を見つける、前回よりも良かった点を見つける、といった加点法で物事を考えることで失敗を成長するための材料に変えることができます。

もちろん、マイナス面に注目して直そうとする姿勢も重要です。ですが、減点法でばかりで物事を考えてしまうと、自分が得意としている事が分からなくなる、失敗した自分を許せなくなる、といったネガティブな影響をもたらすことが考えられます。

また、ポジティブ思考な人ほど、欠点を直そうとするのではなく、長所を伸ばそうとする傾向にあると言われています。苦手なことを一生懸命になって取り組めば、ある程度できるようになるかもしれません。ですが、それを目立った特徴や個性としてまで引き出すには、あまりにも非効率的に思えます。

例えば、人とコミュニケーションを取ることが苦手なBさんがいたとします。Bさんが苦手意識を克服するため「何か話さなければ」と頑張るほど、どこか空回りしているように見えたり、不自然な言葉遣いが目立ってしまうかもしれません。何よりも苦手なことをしている自分にストレスを感じることがあるはずです。

このように話すことが苦手であれば、それを無理に直そうするよりも、聞き上手になることを目指すべきでしょう。どうすれば相手は気持ちよく喋れるのか?適度にあいづちを入れるコツは?相手に好意を伝えるボディランゲージには、どんなものがあるのか?

「話すこと」という苦手な分野よりも、普段している「聞くこと」の方が得意としているはずです。コミュニケーションを取る事は必ずしも「話すこと」ばかりが重要ではありません。むしろ、聞き上手である人ほど、相手の気持ちを深く理解することができ、適切なアドバイスをくれるものです。

成功体験を少しずつ増やすためにも、減点法ではなく加点法で物事を考え、得意な事を伸ばそうとすることがポイントだと言えます。失敗した中で上手くできたことに注目することができれば、自分の得意分野でカバーする方法や意外な解決策が見つかるかもしれません。

 

感情は一旦置いて客観的に考える

感情は一旦置いて客観的に考える

後ろ向きに悩む人ほど、結果が表れる前に、あるいは取り組んでいる最中に感情的になってしまいます。少し回りくどい言い方をすれば、人は出来事そのものに反応するのではなく、その出来事に対する自分の解釈に大きく影響されるということです。

「悩む」という言葉は、どこかネガティブな印象を持ちますが、冷静に考えれば「解決するために悩む」のであって、意欲的に取り組もうとするポジティブな姿勢だと言えます。しかしながら、仕事で失敗をしたときに前向き悩むというのは簡単なことではありません。

そこでオススメしたいのは「感情を一旦置いておく」という方法です。人は大きなミスをしたとき、「こんなこともできないのか」や「あんなに頑張ったのに報われない」などのように出来事に対する感情が先行しがちです。そういった感情は一旦置いといて、起こった出来事を客観的に捉えてみるのです。

ネガティブな感情を持つことによる最大の損失は、後ろ向きに悩み続ける「時間」の浪費です。問題解決に向かって悩むことは健全ですが、自分を責め続けるように考えてしまっては、解決策を導き出すどころか、ますます気分が落ち込む一方でしょう。

前向きに悩むことができる人ほど、抱いた感情に注目するよりも、その問題をどう解決するか?何が原因で失敗したのか?と冷静に見極めることができます。その後で、自分が抱いた感情と向き合ったとしても、決して遅くはないはずです。

また失敗を教訓として、新たな目標を掲げる際にも、ちょっとしたコツがあります。それは「少し難しいかも」と感じるくらいの目標です。無理難題なことをやろうとすれば、おそらく3日も続かないでしょう。簡単にできることを設定すれば、難なくこなすことはできますが、自分を高めることには繋がりません。

今の自分が少し努力すれば達成できること、昨日の自分よりも成長していることを実感できるようなこと、そういった小さな成功体験の積み重ねることが自信を強め、長期的にモチベーションを維持することができます。

 

自己評価を大切にする

自己評価を大切にする

失敗を成長するための糧として利用できるようになるため、感情的ではなく客観的に物事を捉えるためには、自己評価をしっかりとできるようになることが大切です。自分は何が得意なのか、苦手なのか、何に興味を持っているのか、同じ失敗を繰り返す原因は何なのか、自分をよく知ることで見えてくる部分はたくさんあります。

もちろん、周囲の意見を参考にするのも良いでしょう。自分では気づいていなかった長所が見つかることもあるはずです。しかしながら、他人の評価に左右され過ぎないよう注意する必要もあります。

「君は本当に仕事ができるな」と上司から褒められれば、自信を持つことができ、自分がちゃんと評価されていることを実感できます。反対に「頑張りは分かるけど、結果がついてきてないな」などと言われれば、気分は落ち込み、仕事に対するやる気を失ってしまうかもしれません。

「他人からの評価は無視しても構わない」とまでは言いませんが、あくまで参考にする程度におさめておくべきでしょう。他者からの評価に一喜一憂してしまうと、相手の顔色ばかり伺うようになってしまいます。何よりも、自己評価と周囲からの評価を区別して考えなければなりません。

失敗から成長するきっかけを導き出せる人ほど、自分なりの評価基準をしっかりと持っています。「最終的に自分はこうありたい」という目標を持っているため、周りの評価に左右されることなく、自分らしさを追求することができるのです。

以上が「仕事で失敗したときに役立つ6つの考え方」になります。仕事でミスをして落ち込んでいるとき、やる気が起きなくて困っているとき、少しでも参考にしていただけたら幸いです。最後までご覧いただきありがとうございました。

スポンサーリンク