自己愛が強い人の特徴と対処法:ヘッダー画像

ナルシストとは、自己愛(ナルシシズム)が強い人を意味します。ギリシャ神話に出てくる美少年ナルキッソスが、湖に映りこんだ自分の姿に恋をし、口づけをしようとして溺れ死んだことから由来しています。

自己愛の強い人の特徴として、自慢話が多い、自分は特別だと思い込んでいる、お世辞に弱い、などのようなものがあります。こうした気持ちは誰でも持つことがありますが、自己愛が強すぎるが故に社会生活に支障をきたしている場合は「自己愛性パーソナリティ障害」であることも考えられます。

そこで今回は「ナルシスト(自己愛が強い人)の特徴」をまとめてご紹介していきたいと思います。自分の周りに自己愛が強すぎる人はいないか、あるいは自身の特徴に当てはまるものはないか、参考にしていただけたら幸いです。また、最後の方にある「自己愛が強い人の対処法」も合わせてご覧いただけたらと思います。

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自己愛が強い人の特徴7つ

 

 

自己愛①:恥をかくことに上手く対応できない

自己愛①:恥をかくことに上手く対応できない

自信を持って行ったことに対して、周りから笑われてしまうような結果になったとしたら。つまり「恥をかいてしまった」と感じたとき、人はどのような態度を取るでしょうか?多くの人は笑ってごまかしたり、自尊心の強い人なら「失敗することもあるさ」と前向きに考えることができると思います。

しかし自己愛の強い人が恥をかいた場合、周りからしてみればほんの些細な事でも、本人にとっては大きな苦痛として受け取られることがあるのです。これは子供の頃に、親から恥の感情を和らげる術をうまく学べなかったことが関係している可能性が考えられています。

例えば、父親あるいは母親が自己中心的で溺愛と無視を繰り返してしまうと、子供は慢性的に自尊心を低く持ってしまうことがあります。大人になっても「自分はなんて無力なんだ」という気持ちをつねに感じるようになり、恥の感覚を通り越して「怒り」や「無関心」といったような形で表れます。つまり恥をかくと、唐突に気分が落ち込む、感情バランスの回復が遅れる、などのように極端に打たれ弱い人物のように見えるのです。

自己愛が強い人にとって「恥じること」はあまりに耐えがたい感情であるため、どうにかしていっさい恥を感じない方法を見出そうとします。「良心が欠けているような振る舞い」あるいは「恥をかかせた人に対する恨み」などのように、外に向けて自分の感情を処理しようとします。

それは「恥をかくこと」に対して、自分の感情をどう対応したらいいのかわからないから。無神経で自信満々な態度のように見えますが、根源にあるのは「恥に対して敏感すぎる本性」だと言えます。何かしら恥をかいたとき、その人が過剰に落ち込んだり、無関心を表したりしたら、自己愛が強い人の特徴だと考えた方がいいかもしれません。

 

自己愛②:見下すことで自尊心を保つ

自己愛②:見下すことで自尊心を保つ

自己愛人間は、しばしば自信に満ちた態度を取りますが、それは歪な形で膨れ上がった自尊心を守るために作り上げたボロボロの防御壁でしかありません。彼らは単に優秀であることを感じるだけではダメで、誰かしら自分よりも劣っている人物を見つけては比較することで満足しようとします。つまり、自分の価値は「他者よりも優れている」という相対的な考えによって決まるのです。

会社の同期が出世すれば、自分の評価は下がる。会社で上司にホメられている社員を見るだけで自分に価値は無いと思い込む。このように自分よりも優れている人物を前にすると、自己批判とも思えるような感情を膨らませます。彼らがこの感情に対処するために取る行動は「他者を見下し批判すること」です。自分の欠点や恥の感情からできるだけ遠ざかるために、自分より劣っていると思う他者をとことん利用するのです。

特徴的なのが、彼らは「自分が勝てると分かった勝負しかしない」ということ。競争に敗北することを極端に恐れます。大きく膨れ上がった理想を作りあげる割には、すぐには行動に移さず努力もしない、大きなリスクを犯してまで勝ち取ろうという気は微塵もありません。中身のない実力に頼れないことから、有名人の名前を出して自分を大きく見せようとしたり、詳しく知らないことを、さも専門家であるように知ったかぶりしたりします。

このような自己愛の強い人がいる職場環境では、現代におけるパワハラ問題として表れることがよくあります。自分が受けた恥や屈辱を上手く処理できないあまり、口答えできない部下を見つけては、自尊心を保つために見下した態度や言動を使い、「部長に怒られたのはおまえのせいだ!」などと子供じみた言い訳を並べたりします。

仮に八つ当たりとも思えるような行為を受けたとしても、決して彼らと同じ土俵に立ってはいけません。もしも上のような人物に出会ったら「自分に価値が無いことを不安に思っているのだな」と冷静に怒りを処理する方が得策です。

 

自己愛③:特別扱いされて当たり前

自己愛③:特別扱いされて当たり前

皆さんの周りにこんな人はいませんか?自分の要望を伝えるばかりで、それが拒まれると怒りをあらわにする人。あるいは、自分のことを話題にされているときは興味津々で聞いているのに、他者の事となるとめっきり興味を無くす人。これらのように自己愛の強い人は「自分の要望が通って当たり前」や「私が特別扱いされるのは当たり前」と考える傾向にあります。

自分の主観でしか物事を見ない人は、周囲との助け合いといった相互関係には全く興味がありません。そもそも自分以外の人間は、自分の欲求を満たすためだけにいるとさえ考えています。ですから、要望が通らないと分かれば、赤ん坊のように駄々をこねたり、どこかの王様とも思えるような横柄な態度を取るのです。

この意識は、幼児期の自己中心的な感覚が、そのまま大人になって残ってしまったことが原因かもしれません。人は誰でも1,2歳のときに正常な自己誇大感を経験します。自分が世界の中心だという感覚から、恥を通して本当の立場を他者から学び自覚するのです。

しかし中には恥を自覚することができずに、あるいは親が恥を与え過ぎたために、自分が世界の中心であるという思いこみを捨てることができないまま、子供から大人へ成長してしまいます。子供が抱いた恥や怒りといった感情に対して、親が穏やかに応じることができなければ、大人になっても心の葛藤から来る攻撃性に悩み続けてしまうことが考えられるのです。

 

自己愛④:優越感を得るために軽蔑する

自己愛④:優越感を得るために軽蔑する

自分には無いものを持っている人物に出くわしたとき、自己愛の強い人は優越感を確保するために「相手を軽蔑する」という行為に出ます。何の根拠も無いのにも関わらず「彼は思ったよりも仕事ができない」やら「彼女はコミュニケーション能力に欠ける」などと、相手の実績に関係なく軽蔑することがあるのです。

また恐ろしいことに、自分が相手を侮辱していると気づいたとしても、その感情を認めようとはしません。なぜなら、自分が妬んでいることを認めれば、自分が相手よりも劣っていることを証明してしまうことを知っているからです。

例えば、貧しく批判的な両親の元で育った子供は、大人になって裕福な家庭で育った知人に対して無意識に妬むようになるかもしれません。幼い頃に辛い親の離婚を経験した人は、幸せそうな家族を見かけたり、友人の結婚式を目の当たりにすると、妬みとも思えるような感情が芽生えることがあるのです。

ポイントは対象が裕福であるとか幸せであるから妬んでいるのではなく、無意識のうちに自分の環境や行動と比べ、それが劣っていると感じている点です。つまり何とも自己中心的な価値観によって自分と他者を比べ、妬んでいる自分を認められないが故に、かわいそうな我が身を守るため、何かと理由つけては相手を侮辱するのです。

人間の負の感情として、才能ある者が落ちぶれたり、お金持ちから借金地獄になったり、美女が不慮の事故に遭って見るに耐えない姿になったりすることに興味を引くことがあります。これは自分とは世界の違う人物が、同じ不幸や欠点を共有することにより安心を得ようとするからです。

しかしながら、自己愛が強い人の妬みは「優越感を得たい」という感情によって増幅され、軽蔑や憎しみといった攻撃的な感情になって表れます。自身の妬みにすら気づかないまま、相手を軽蔑してしまうのですから、これほど恐ろしいことはありません。

 

自己愛⑤:根拠のない大きな理想

自己愛⑤:根拠のない大きな理想

自己愛人間は、自分より才能のある人物を簡単に認めようとはしません。その歪んだ感情に対処するため、いびつな形で自尊心を膨らませ「根拠のない大きな理想」を思い描こうとします。簡単に言えば「自分の才能は唯一無二の特別なもの」と考え、自惚れとも思えるような理想化した世界を作り上げてしまうのです。

悲しいことに「根拠のない理想」を追いかける人物は、まわりの気持ちなどお構いなしに物事を進めていきます。そして周囲の人々も、その理想を壊さないように慎重に対処します。なぜなら、大きく膨れ上がった理想が破裂してしまえば、怒りという攻撃的な感情が向かってくることを認識しているからです。

また根拠のない理想を思い描く事とは反対に、目立つことを極端に嫌う場合もあります。彼らは根拠のない理想を追いかける他人と結びつき、忠実な友人あるいは恋人という形で自尊心を膨らませようとします。ただし、それは結びついている相手が「特別な存在」であると感じ取れる間だけ。相手がそれに値しない人物だと気づいた途端、新たな依存相手を探し求めることになります。

このようなタイプの人間に出会ったと気づくのは、多くの場合、彼らが去って行った後です。冷静に振り返ってみると、非現実的な方法で持ち上げられていたことに気づくはずです。この相手に依存するタイプの人は、お世辞の達人であり、魅力的な世界へ誘うことに長けています。しかしながら、特徴的なのは「その心地よさが突然終わる」ということ。自分の自尊心を膨らませることができないと感じた瞬間、手のひらを返したように態度を変えてしまうのです。

これら以外にも、恥の感情を他者に移し替える「投影」が使われることがあります。例えば、学歴にコンプレックスを抱いている父親は、異常なまでに自分の子供をいい大学、いい会社に就職させようとしたり、性欲に葛藤を抱いている母親であれば、自分の娘に尻軽のレッテルを受け入れさせることなどが考えられます。

こうすることによって親自身はうまく恥の意識を処理することができるのですが、残念ながら子供に与える悪影響は計り知れません。親から受ける恥の投影によって、それが子供の一部となり、自尊心の低下に繋がる可能性があるのです。これは親に限らず、会社の同僚や上司である場合もあります。自己愛の強すぎる人から受ける投影には十分に気をつけてください。

 

自己愛⑥:共感することができない

自己愛⑥:共感することができない

思いやりのある行動や言葉をかけるには、相手の気持ちを深く理解することが必要不可欠です。共感するということは、個々の存在の間に橋をかけるようなもので、お互いが別の自律した存在として認識できることが前提でもあります。

しかしながら、自己愛の強い人は自己が別の存在であることを認識できないため、他者とうまく共感することができません。また他者は別の存在ではなく自己の延長だとし、自分の欲求を満たすためだけに存在するとも考えます。その結果、家族や恋人でさえも私欲のために利用することを何とも思わないのです。

分かりやすい例を挙げるとするなら、ドラマなどによく出てくる飲んだくれのダメ夫でしょう。毎日働きもせずお酒を飲み、妻が必死になって稼いだお金をギャンブルや浮気相手に浪費します。子供が大きくなれば出稼ぎに行かせることも躊躇わないかもしれません。

周囲への思いやりは全くなく、とにかく自分を優先させてしまいます。また、相手を利用していることを自覚していないのも大きな特徴だと言えるでしょう。このような被害に遭う人物は、たいてい従属的な立場にあります。わがままな恋人、あるいは一方的な要求ばかりする上司、権力を乱用したセクハラといったように、様々な形で身勝手な自己愛の被害者を作り出していくのです。

 

自己愛⑦:他者との境界がわからない

自己愛⑦:他者との境界がわからない

自己愛の強い人は、相手との境界線があいまい、あるいは無いに等しく考える場合があります。極端な言い方をすれば、自分以外の人間は自分の要求を満たすためだけに存在し、それができないのなら存在しなくていいとさえ考えます。子供の頃に両親から溺愛され過ぎたあまり、それぞれが別の存在ではなく、自分の一部として考えるようになってしまったのが原因かもしれません。

親は自分の要求を満たすだけの存在だという幻想を抱き続ければ、自分を成長させようと努力するよりも、自分に無いものを持っている他者を探すことに一生懸命になります。そして、相手を利用する価値が無いと分かれば、あっさり切り捨てるのです。

例えば「おせっかい過ぎるオバさん」などが分かりやすい例でしょう。自分がもらって嬉しいものは、相手も嬉しい。自分がされて助かることは、相手も助かる。たしかに何かをプレゼントする、手助けをすることは悪いことではありません。ですが問題は相手の気持ちを全く考えていない点です。

彼らは家族水入らずの時間などお構いなしに、プライベートに侵入してきます。何の断りもなく、他人の郵便物を勝手に開けるかもしれません。会話を盗み聞きして、おせっかいな質問をしてくることもあるでしょう。「どうしてそんなことができるの?」と明らかな境界の侵害を注意したとしても、彼らは怒りを全面に出す、または困惑した表情をします。なぜなら「相手は自分の延長である」という幻想に何の疑いも持っていないからです。

 

自己愛が強い人の対処法

自己愛が強い人の対処法

これらの特徴に多く当てはまると「自己愛性パーソナリティ障害」である可能性が考えられます。すべての症状とまではいかなくても、身近な存在にいくつかの特徴が当てはまる人物がいるかもしれません。恥に対する過剰な反応、境界意識の欠如、自分の要求が満たされない怒り、大きく歪んだ理想などです。

では最後に「自己愛の強い人に対処する方法」をいくつかご紹介したいと思います。第一に大切なのは、自己愛の強い相手を認識することです。過去の経験を振り返り、相手の反応、それによって抱いた感情を思い出してください。自己愛の強い人は、相手を自分の一部とすることに長けています。無意識のうちに相手の思い通りに動かされていないか確認してください。

次に対処するべき相手が分かれば、それに備える心構えができ、冷静に判断することができます。そして自己愛の強い人間が表す、軽蔑、怒り、妬みは、いつかは自分に向けられることも覚えておいてください。相手の身勝手な言動、あるいは横柄な態度に振り回されてはいけません。

境界意識に問題のある場合は、慎重に作戦を練る必要があります。はっきりと自分の意見を伝える方法もありますが、自己愛の強い人はそれを「明らかな攻撃」だと見なすため有効ではありません。できるだけ穏やかな方法で、自分と彼らの間に境界線があることを根気よく伝えていきましょう。そして何より設定した境界を守り抜くことです。境界が曖昧なものだと分かった途端、自己愛の強い相手は何事も無かったかのように侵入してきます。

そもそも自己愛の強い人物と「関係を持たない」という手段が取れるのなら、それに越したことはありません。どうしても関係を維持しなければならないのなら、できるだけ関わりを制限し、健全な交友関係を結べる相手を見つけるべきでしょう。一方的な要求ばかり求めてくるのは、自分が相手の一部だと見なされている証拠です。

以上が「自己愛が強い人の特徴と対処法」になります。自分の家族、会社の上司、あるいは自分自身の自己愛が強いと感じても、決して悲観的に考えないでください。冷静な判断と自制心があれば、きっと乗り越えられるはずです。最後までご覧いただきありがとうございました。

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