握手から使える心理テクニック

手は人類の進化の立役者であり、人間の脳と一番密接に結びついています。

ですが、ほとんどの人が自分の手が普段どのような動きをしているのか気にしないのがほとんど。

例えば、手のひらを見せる行為は昔から真実や誠実さ、忠誠心と結びついており、戦う意思がなく、脅威を与えない表れです。

人は本心を打ち明けたり、隠し事はしてないと訴えるときに、このしぐさをします。

これは本能的に出てくる動きであり、相手は直感的に偽りがないことを察するのです。

子供が嘘をつくときは両手を後ろに隠します。

朝帰りした夫が妻からどこに行っていたのか問い詰められると、腕組みをしたり、両手をポケットに入れながら言い訳を始めます。

男性の嘘は女性と比較して分かりやすいことが証明されていますが、女性が真実を隠したいときは、別の話題に話しをそらし、根本的な話題をあやふやにしようとします。

両手をポケットに入れるのは、男性が話をしたくないときに表れる「典型的な動作」で、手の動きから相手の心理を読み解くことが十分可能です。

ただし、嘘を見破ろうと考えているときに「心理学における嘘のしぐさ」を単体で判断するのはNGです。

嘘を見抜くためにはしぐさ、言葉、表情などから総合的に判断しなくてはならないことを注意してください。

そして今回は、そんな心理がよく表れる「手」から「握手が与える心理的印象」についてご紹介したいと思います。

ビジネスにおいて、または円滑な人間関係を築くために役立てていただけたら幸いです。

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手を広げて嘘をつく

握手の心理テクニックの前に、ちょっと面白い手の心理について記載しておきます。

先ほど人は隠し事をしていないときに、両手を広げ、手のひらを見せることが分かりました。

では、両手を大きく広げる動作をしながら嘘をつけば、相手を簡単に騙せるのか?

答えは「一般の人はできない」です。

いくら両手を広げて嘘をついていないことをアピールしても、顔の表情や、声のトーンに違和感が出てきます。

相手はその不自然な反応をしっかりと認識しており、逆にその不自然さが目立つものです。

しかしながらプロの詐欺師ともなれば話しは別。

言葉の嘘に合わせて、身振り手振りの演技をすることが可能なので、見破るのは困難でしょう。

また面白いことに、会話の際に手を広げるジェスチャーを習慣化すると、人は嘘をつくのが難しくなります。

このジェスチャーは相手の心理にも影響を与え、話し相手も同様に嘘をつきにくくなる傾向にあります。

これと同じように、身を守ろうとするとき人は腕を組みますが、最初に腕を組むことで何となく守りたいという守備的意識が働きます。

つまり心理が先行してしぐさに表れているだけではなく、あるしぐさをするだけで上のような心理になることもあるのです。

ビジネスにおいて、お互いに本音でぶつかりたいと思っているのなら、ぜひとも両手を広げるジェスチャーを取り入れてみることをオススメします。

 

手のひらの向きで変わる印象

あなたは握手をするとき、手のひらを上にしますか?下にしますか?

実はこの手のひらの向きによって、相手に与える印象は大きく変わってきます。

握手と同様に影響力がある手のしぐさに「指さし」があります。

人が指示をするときに使う手の動きには3種類だけしかなく、言葉づかいや声のトーンが同じだったとしても、手の動きから受ける印象は全く違うものになります。

 

・手のひらを上に向ける

手のひらを上に向ける

物乞いをするときの様子を見れば分かる通り、手のひらを上にするしぐさは、相手にお願いをする姿勢が前面に出ています。

このしぐさから指示やお願いをすれば、相手に圧迫感を与えずにすみます。

また、相手の話しを促す際にも、このしぐさを使えば「あなたの話を聞く準備ができています」というメッセージを送ることができるのです。

 

・手のひらを下に向ける

手のひらを下に向ける

一方で、手のひらを下に向けただけで与える印象は全く反対のものになります。

手のひらを下にして指示やお願いをすると、その頼みは「命令」のように聞こえ、その場の雰囲気によっては不快感を抱く人も出てきます。

ちなみにヒトラーが行っていた腕を高く上げ、手のひらを下にする敬礼は権力と専制の象徴でした。

 

・人差し指を突き出す

人差し指を突き出す

人差し指を1本だけ突き出して指示をするしぐさは、こん棒を強く握りしめて殴りかかろうとする動きを象徴しており、相手を脅かして服従を強要させるものです。

このしぐさによって指示されると、相手は無意識のうちに身構え、否定的な感情が高まります。

人に指をさされると不快な気持ちになることから分かるように、国によっては人に人差し指を向けることが侮辱になってしまうので気をつけたいものです。

ちなみにマレーシアでは、方向を指示するときなどは、人差し指ではなく、親指を使います。

 

握手の起源

握手の起源は古代ローマの時代にまでさかのぼり、武器を隠し持っていないことを伝え合うものでした。

袖の下に短剣をしのばせることがあったため、相手の手首を握り合うのが挨拶だったのです。

握手の起源

そこから取引が成立した証として商人同士が握手をするようになり、今の一般的な握手になったのです。

挨拶の一つとしてすっかり定着している握手ですが、むやみやたらに手を強く握って振り回せば良いというものではありません。

信頼と歓迎の気持ちを伝える手段として使う前に、手を差し出す前に少し考える必要があります。

自分が歓迎されていないにも関わらず、何も考えずに握手を求めてしまうと相手が身構えてしまい態度が硬くなるものです。

そんなときは、あえて自分から握手を求めようとはぜず、相手の出方を伺うのもひとつのテクニックです。

握手をする気がなさそうであれば、軽い会釈だけで済ませた方が良いでしょう。

また国によっては女性に握手を求める行為が、非礼にあたる場合もあるので注意が必要です。

 

握手が与える印象

上の方で指示やお願いをするときに、手のひらを上にするか、下にするかで与える印象が変わることを話しましたが、この影響は握手にも応用できます。

 

・手の甲を上に向けた握手

手の甲を上に向けた握手

イラストのように手の甲を上にした握手は、相手よりも優位に立ちたいという印象を与え、別名「支配的握手」とも呼ばれています。

成功している企業の上級役員350人を対象に調査したところ、男性の88%、女性の31%はこのタイプの握手をしていることが分かったのです。

さらに調査対象者のほとんどが自ら握手を求めようとはしなかったことも判明しました。

 

・手のひらを下にする握手

手のひらを下にした握手

反対に手のひらを上にして、相手の手を下から持ち上げるような形の握手は、相手に主導権があることを感じさせます。

「服従的握手」とも呼ばれており、相手に忠誠心を示す際には効果を発揮します。

つまり謝罪をしなくてはならないときなどに握手するときは、このタイプが有効です。

 

・手のひらをお互いに縦にする握手

対等な握手

お互いに優位に立ちたいと思っている人同士が握手すると、どちらも相手を服従させたいがため手のひらを下にしようとしますが、力が拮抗しているので、手のひらの向きが縦になります。

このタイプの握手はお互いを対等と見なし「一目置く」という感情を抱かせます。

 

・支配的握手の対策

横柄で支配欲の強い人が手の甲を上に向けた握手をすることが多いですが、そのような握手をされた方は服従的になりますが、その対応策を2つご紹介します。

 

1.回りこみ

相手が支配的な握手を求めてきたら、対等に思わせるためにも、手のひらの角度がポイントになります。

そのために相手に回り込んで手のひらの向きを変えさせる方法があります。

まず、相手の手を取ったら、軽く引き寄せながら左足を踏み込みます。

利き足が右の人は、自然と右足が前に出る習慣があるので、意識的に左足を前に出す練習が必要でしょう。

次に、体重を右に動かしながら相手の前を横切るつもりで右足を前に出します。

同時に握った手を振れば、相手の手のひらは自然と横を向き、うまくいけば自分の手の甲が上になる支配的握手に持っていけることもあります。

ただし、このテクニックは自分の立場を上にしたいという思惑が見え見えなので、時と場合を考えて使うことが必要です。

自分が主導権を握りたい「ここぞ!」という時にこそ使うべきでしょう。

 

2.左手を添える

相手が手のひらを下にして握手を求めてきたら、まずはそれに合わせて握手をします。

そこから左手をさりげなく添えて、角度を修正する方法です。

これだけでも相手に主導権を握られることは無くなり、特に女性にとっては使いやすい方法とも言えます。

 

・両手による握手

両手による握手は別名「政治家の握手」とも呼ばれており、信頼感や誠実さを伝える際によく使われます。

両手を使うことにより、手に触れる面積も多くなり、相手の右手の動きを制限させる働きもあるので、自分が優位に立ちたい時に役立ちます。

両手を使う握手

しかし、初対面の人にこの握手をするのは逆効果です。

親密さを表す握手でもあるので、いきなり両手で握手すると「どういうつもり?」と何か裏があるのではないかと詮索されてしまいます。

そして気をつけるべきポイントが2つあります。

1つ目は、添える左手の位置が気持ちの度合を表すこと。

左手が相手に近いほど(手首、二の腕、ひじ、肩の順のように)新密度は高くなっていきます。

2つ目は、左手が相手のパーソナルスペースに入っていること。

ここでは詳しく解説しませんがパーソナルスペースとは人間が持っている「他人に入られたくない距離」などのことを指します。

つまり親しい関係でなければ、相手は不快感を抱くことがあります。

親しくなろうとしきりに左手を添えて握手する人がいますが、相手によっては逆効果になることもあるのです。

パーソナルスペースについて詳しく別の記事にまとめてあるので、興味がありましたら、ぜひご覧ください。

合わせて読みたい記事:【パーソナルスペース

 

相手に嫌われる8つの握手

最後に相手に嫌われる、印象の悪い握手を8つご紹介します。

最初の方で話したように、握手は手を強く握って上下に振れば印象が良くなる、というような簡単なものではありません。

中には「心理的に悪い印象を与える握手」もあるのです。

印象を悪くする握手に自分が当てはまっていないかチェックし、相手に与えるイメージを良いものにしていきましょう。

(印象の悪さが小さいものから順に記載しています)

 

印象の悪い握手①:万力タイプ

万力タイプの握手

万力のように相手の手を強く握りつぶし、大きく振る握手。

知り合って間もない相手に対して、取り込もうとする意識の表れであり、男性がこの握手をよく使います。

握力が強いと相手の手が真っ白になることも。

逆に支配されることを恐れている人も、この握手をする傾向にあります。

 

印象の悪い握手②:空気入れタイプ

空気入れタイプの握手

自転車の空気を入れる際に、リズミカルにポンプを上下に振りながら空気を入れる様子からきています。

上下の動きが数回ならある程度我慢できますが、中にはとめどなく空気を送り続けるように握手をする人もいます。

このタイプの人は、手の動きを止めてもなかなか手を離そうとはせず、握られている方も手を離しづらくなります。

 

印象の悪い握手③:ねじりひっぱりタイプ

ねじりひっぱりタイプの握手

握手をするときに、相手の手をねじりながら手前に勢いよく引っ張る人です。

相手は痛みを感じることもあり、場合によってはケガをしてしまうことも。

相手のバランスを崩して、自分の領域に引き寄せて優位に立つことが目的です。

逆に言えば自分の領域から外に出ることを恐れている臆病な性格とも言えます。

 

印象の悪い握手④:腕突き出しタイプ

腕を突きだす握手

相手の手を握った後に、手を前に突き出すタイプです。

攻撃的な性格の人が、相手と距離を置きたいときによく表れます。

のびのびと田舎で育ったパーソナルスペースが広い人にも、このタイプの握手は表れます。

 

印象の悪い握手⑤:人参タイプ

人参タイプの握手

「人参を差し出すような握手をする」というオランダ語の言い回しから由来しています。

湿り気がなく、少し固いという印象を持ちます。

 

印象の悪い握手⑥:指に握りタイプ

指を握る握手

初対面の男女によく表れるぎこちない握手です。

仲良くなりたいという気持ちがありながら、自分に自信がないことから、中途半端な形になってしまいます。

意図せずこの握手をしてしまったら、さりげなく左手を添えて位置を修正しましょう。

中途半端な握手で終わらせないことにより、相手にも「ちゃんと仲良くなりたい」というあなたの気持ちが伝わるはずです。

 

印象の悪い握手⑦:死んだ魚タイプ

死んだ魚タイプの握手

死んだ魚を持ったときのジメっとした冷たい感じのする握手です。

生気を感じられないことから、性格的に弱く、積極的ではない印象を持たれてしまいます。

またこのタイプの握手をする人は、自分で気づいていないことがほとんどです。

手のひらには汗腺がたくさんあるので、緊張して手汗が出るのは自然なこと。

挨拶の前にハンカチやティッシュで手のひらを拭いて対応しましょう。

 

印象の悪い握手⑧:ボーンクラッシャータイプ

クラッシャータイプの握手

最も印象を悪くする握手と言ってよいでしょう。

攻撃性が強い人に多くみられる握手で、一度握手すると骨を砕こうとしているかのような力で強く握ってきます。

残念ながらこの手の握手には対応策がなく、握手をして自分が痛がることで相手に気づかせるしかありません。

流血しないためにも、右手には指輪をしないことをオススメします。

 

以上が「握手から使える心理テクニック」になります。

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最後までご覧いただきありがとうございました。Ofee

 

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