ハロー効果とは

心理学のハロー効果(halo effect)とは、思考を歪める認知バイアスのひとつであり、肩書や学歴、年収や身長、外見などのある一つの特徴から、無意識のうちに相手の評価を高めてしまう効果を意味します。(別名:後光効果・光背効果)

そして「ハロー効果の例」として、以下のようなものがあります。

  • 話したこともないカフェの店員さんに一目惚れしてしまった(性格も良いに違いないと思い込む)
  • ある新入社員が、まだ実績を何も上げていないのにも関わらず、某有名大学出身と知れただけで周りが高評価してしまう
  • いつも気さくに話していたボサボサ頭のおじさんが、数々の芸術賞を総ナメにしていることを知って、印象がガラリと変わる
  • 暗くてさえないと思っていた男性が年収1000万円だと知り、周りの女性が目の色を変える
  • 好感度の高い芸能人を新商品のCMに起用することで、その商品のイメージもアップする
  • 有名人や著名人の子供だと知られたことがきっかけでブレイクする

また肩書や年収だけではなく、外見からもハロー効果は表れます。

高級ブランド品を身につける、身長が高い、イケメン、美人などといった見た目だけで、性格も良いに違いない、仕事ができるにちがいない、将来も有望だろう、と無意識のうちに高評価してしまうのです。

アメリカの心理学者シンガーは、40人の大学教授に192人の女子学生の写真を見せ、外見的な魅力を調査しました。

すると、魅力があると評価された学生(いわゆる美人)は、学業の成績も他の学生と比べて良いことが分かりました。

つまり、美人という外見的特徴が、えこひいきとも思える「ハロー効果」を引き起こしていたのです。(外見が魅力的な女性は向上心が強いため、という研究結果も出ています)

自分を実力以上の印象を与えることができる心理テクニック「ハロー効果」を有効に使えることができれば、相手に好印象を持ってもらえることも期待できるでしょう。

就職活動中の面接でも「英語が話せるAさん」や「ボランティア活動をしているBさん」のように、特徴的なひとつの長所から格段に印象深くなることもあります。

何かひとつ「自分といえばコレだ!」というものを持っていると、相手に好印象を与えられるきっかけになり、覚えてもらいやすくもなります。

ただし、上で紹介したのはポジィティブ・ハロー効果と呼ばれるプラスの印象を与えるものであり、逆に望ましくない面を1つ持っているだけでも、全体の評価が下がってしまうネガティブ・ハロー効果もあるので注意が必要です。

 

寛大効果

寛大効果

人が他人を評価する際に生じやすい歪みには、ハロー効果の他に「寛大評価」があります。

これは、相手の良い特徴を過大評価してしまい、反対に悪い特徴は過小評価しやすい傾向にあることを意味します。

例えば、依存症の一種であるDV(ドメスティック・バイオレンス)にも、この寛大効果が表れます。

恋人に暴力を振るわれたにも関わらず、それでも別れられない女性の心理には、ときおり相手が見せる「優しさ」を強く意識してしまい、「暴力を振るう」という悪い面を過小評価してしまっていることが原因なのです。

もちろん寛大効果をビジネスの場や人間関係において、良い効果として利用することもできますが、それによって現実が見えなくなる場合もあります。

 

ピグマリオン効果

ピグマリオン効果

ハロー効果のついでに、相手をほめる、期待することで、良い結果を出せるようになる「ピグマリオン効果」もご紹介しておきましょう。

ピグマリオンの語源はギリシャ神話に登場する王が、恋をした女性の彫刻像を現実の女性にしてほしいと祈り続け、願いが叶ったという伝説に由来しています。

「ホメる」という行為は、相手の自己拡大につながり、ポテンシャルに意識を向けさせる効果があります。

ほめられることにより「もっとがんばろう!」や「期待に応えよう!」とモチベーションが上がるため、結果もついてくると考えられています。

また心理学では、元々持っている才能をほめるよりも、費やした努力の量や、そこに至るまでのプロセスをホメたほうが、モチベーションを維持できることが分かっています。

心理学者キャロル・デュエックは、子供たちを2つのグループに分け、簡単なパズルを行った実験を行っています。

400人の小学生を対象に、簡単なパズルを解かせ、ひとつのグループには「才能」をほめ、もう片方のグループには「努力」をほめました。

次に、新しいパズルに挑戦させ「簡単なパズル」と「難しいパズル」のどちらがよいか尋ねました。

すると、才能をほめたグループの大半が「簡単なパズル」を、努力をほめたグループの大半が「難しいパズル」を選んだのです。

反対に叱ったり、マイナスのイメージを与えることによって、実際に結果も悪くなってしまうことを「ゴーレム効果」と呼んでいます。

何をやっても続かない子供に対して「どうせまたあきらめるだろう」と批判的に接するよりも「いろいろなことに興味があっていいね」とほめることが大切です。

落ち込んでいる部下に対して、失敗したことを責めるよりも、チャレンジしたことをほめることで、次の良い結果へと繋がるでしょう。

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