子供の嫌いな野菜に必ずと言っていいほど入ってくるピーマン。
子供が嫌いな野菜ランキングでも、1位のナスに次いで2位に食い込んでいる。
品種改良などによっていくらかは食べやすくなったが、あの独特の苦みや匂いが苦手だという子供もまだまだ多い。
実はピーマンを嫌うのは人間の子供だけではなく、哺乳類の中でピーマンを食べるのは人間くらいであって、牛や馬、ヤギや羊もピーマンを食べたがらないという。(鳥類は苦みや匂いに鈍感であるため食べる)
ピーマンの苦みはアルカロイドという成分で、ナス科の植物に多く含まれている。
実はこのアルカロイドは天然の毒であり、薬や娯楽のための麻薬などに使用されてきた。
ピーマンもこのナス科に属していて、アルカロイド含有量は緑色のピーマンが最も多く、赤や黄色のピーマンは少ない。ちなみに緑色のピーマンは未熟果であり、完熟すると赤や黄色、オレンジ色になる。
「じゃあピーマンをたくさん食べると体に悪いの!?」と心配したあなた、ピーマンのアルカロイド含有量はごく微量なので、通常食べる分には全く問題ないので安心してほしい。
また、ピーマンのアルカロイドは油に溶ける性質があるので、油で炒めたりすれば苦みを和らげることができる。
他にもピーマンの切り方によっても苦みを和らげることができる。
横に切ると苦みや匂いが強く出て、縦に切ると苦み、匂いが和らぐという結果が出ている。これはピーマンの細胞の形が縦長に並んでいるのが理由だ。
もともと「苦み」という味覚には、動物にとって毒かどうか判断するひとつの指標であり、動物は「苦み=毒」と見なして、苦みのある植物を避ける本能がある。
子供の味覚にも、毒物を本能的に避ける鋭敏さが備わっていて、ピーマンの苦さを毒と判断するため嫌いな理由となるのだ。「良薬、口に苦し」というコトワザも、薬=毒なのだから当然といえば当然なのである。
ところが大人になるにつれて、味覚がだんだん鈍感になり、苦みを感じなくなってしまうのである。
近年のゲノムレベルの研究によると、他の霊長類に比べて、人の苦みを感じる遺伝子には顕著な退化がみられるという。
脳の発達によって、味覚で毒を判別する必要性がなくなってきていることの表れかもしれない。
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