富士山

最近のニュースでも御嶽山の噴火という悲惨な災害があったが、日本を代表する美しい山「富士山」もれっきとした活火山であり、いつかは100%噴火する!?といわれている。

最も新しい噴火は1707年、地鳴りがとどろき、黒い噴煙が成層圏(高度1万~5万m)まで達した。

当時、江戸では火山灰が4cm近く降り積もり人々は咳き込んだという。

もし現在において富士山噴火が起きたら、細かい灰で電子機器は使えなくなり、噴煙から出る電磁波の影響で携帯電話などの通信機器も麻痺すると考えられており、噴火による被害はただならぬものになるだろう。

今回はそんな日本を代表する富士山に関する雑学をご紹介。

 

 現在の富士山は三代目

日本を代表する最も美しい山、富士山。

実は現在、私たちが目にしているのは三代目の富士山だという。

富士山の初代は約70万年前、現在の2500m付近にある小御岳神社(こみたけじんじゃ)を頂上とする「小御岳(こみたけ)」が噴火してできた。

二代目の誕生は約八万年前、初代の南側が噴火し小御岳を覆いかぶさるようにして2700mまで高さを伸ばした。

現在の富士山新5合目の泉ヶ滝で二代目の噴火で消えた初代の火口壁の一部を見ることができる。

この噴火によってできたのが関東ローム層。

噴火の際に出た火山灰が風に乗って運ばれ、降り積もって関東ローム層を形成したのだ。

そして現在となる三代目ができたのは約一万数千年前。

二代目の山頂付近の噴火により、初代と二代目をまとめて覆いかぶして、できたのが今の姿となる。

富士山の○合目は標高が基準ではない

登山の際に山の位置を把握するためにある「○合目」。

ふもとから「一合目」「二合目」・・・となり、「十合目」が山の頂上を表す。

この「〇合目」、ふもとからの標高や、標高の1/10を一合目として基準にしてる、と勘違いしてしまっている人は多いはず。

富士山の場合、登山口はいくつもあるが、ルートによって一合目の高さは異なる。

距離で考えても等間隔ではなく、「〇合目」の数字が増えるにつれて間隔が短くなる傾向にある。

実はこの「〇合目」登山の難易度によって決まる

難易度が上がるにつれて「〇合目」の数字も大きくなるのだ。

この「〇合目」という呼び方は富士登山が始まりとされており、富士山は平安末期から鎌倉時代にかけて修行の場とされていて、室町時代以降では庶民も登山をするようになった。

しかし「合目」の由来には他にも諸説あり、富士山の形が穀物を盛ったような姿から、穀物を計る「合」を用いた、あるいは登山の際に灯火に用いた油の量を表す「合」からきている、などがある。

ちなみにこの富士山の「合目」、登山道や交通手段の変化に伴い、昔と現在では位置が異なる。

富士山5合目の吉田口と御殿場口では標高が1000m違う

富士山の登山ルートには大きく4つの富士宮、御殿場、須走、吉田ルートがある。

吉田ルートは初心者にオススメで、富士スバルライン5合目(標高2,305m)をスタートする。最も人気がある登山ルートで、その理由は山小屋が多数あること、首都圏からのアクセスも良いことなどが挙げられる。しかし、登山時期のピークになると登山道だけではなく駐車場も混雑するので注意が必要。

御殿場ルートは4つの中で最も距離が長く、標高の高低差があるルート。

御殿場口新5合目(標高1,440m)をスタートし、登りと下りの時間を足すと12時間以上にもなり、1泊2日の日程で食料や水、充実した登山装備などが必要。

特徴的なのは人の少なさ、静かに登山をのんびり楽しみたいという人にはもってこいなのだ。また下山ルートとして人気なのが御殿場ルートの「砂走り」。ぐいぐい下っていけることから、わざわざ下りルートだけ御殿場ルートを選ぶ人がいるほど。

お気づきだろうか?

スタート地点までは車で行けるのだが、吉田口と御殿場口では標高差が1,000mくらい違う。

何も知らずに「とりあえず富士山に登ってみよう」なんて計画を立てずに御殿場ルートを選んでしまうと大変なことになってしまうのだ。

初めての富士登山はぜひ吉田ルートを選び、万全の装備をしていこう。

ちなみに頂上付近では「お鉢めぐり」というルートがある。

これは富士山頂上付近をぐるりと一周するルートだ。所要時間は1時間30分ほどなので、富士登山をする際に「お鉢めぐり」をするのであれば、登りと下りの所要時間と合わせて計画しよう。

登山の際に気をつけたい高山病

これは富士山に限った話ではないが、子供やお年寄りが山を登る際には注意が必要だ。

その理由は高山病にある。

日本旅行医学会の調査によると登山した児童の半数近くに頭痛、食欲不振などの軽い高山病の症状がみられたという。

高山病は血液中の酸素不足から起こり、ひどいときは、呼吸困難、肺水腫になる危険性もあり、稀だが命にかかわることもあるのだ。

高山病にならないようにやるべき事は、適度な水分を定期的に取ること。

急いで登山せず、体を気圧に慣れさせるために計画を立ててゆっくりと登ること。

深呼吸をして、肺に新しい酸素を送り込むこと、などが上げられる。

また仮に高山病になったとしても、これらのことを再度することは有効なのだそうだ。

とにかく一日で登頂しようとは考えず、計画性を持って、少しでも高山病の症状が出たと思ったら無理をせず、引き返す勇気が必要だ。

富士山の世界遺産は期限付き?の理由

2013年6月に富士山は世界遺産登録され、誰もがみな喜んだことは記憶に新しいだろう。

しかし、この世界遺産登録は期限付き?の状態だという。

その理由は「ゴミ問題」

遠くから見ればその凛とした姿が美しい富士山だが、実際に登ってみるとゴミがひどい。

中には世界的な登山家が「ヒマラヤを富士山のようにするな!」と富士山をゴミの山代表のように例えたこともある。

また世界遺産になったことで問題になったのが「落書き」。

2014年には外国人登山者がしたとみられる「INDONESIA」や「RUDAI」などの落書きが発見されている。

富士山を世界遺産に登録しよう始まったのは1992年のこと。

2003年には世界自然遺産の候補地として知床や小笠原諸島などが選ばれた際には富士山はゴミ問題のせいで候補地にすら選ばれなかった。

しかし念願叶い、やっとの思いで登録されたわけだ。

冒頭でも記載した期限付き?というのは、富士山の世界遺産登録が取り消される可能性があるからだ。

富士山が登録された際には、登録時としては異例の保全状況報告書の提出を求められた。

つまり条件付きで世界遺産になった。

世界遺産登録ではユネスコに代わって審査をするICOMOS(イコモス)という機関があり、富士山が登録されたときにも「吉田口5合目の施設」や「富士五湖畔の建築物、動力船、ジェットスキー、不適切な駐車」などの改善が指摘されている。

海外でも実際に世界遺産登録が取り消しになった例があり、ドイツのドレスデン・エルベ渓谷、オマーンのアラビアオリックスの保護区などがそうだ。

世界遺産に登録されたばかりの富士山も安心はできない、世界遺産でいられるかどうかは私たちのモラルと努力にかかっているのだ。

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