驚くことに現役の相撲力士は車を運転できない。
「あの大きな体格のため車の教習所に通っても運転が困難だから試験に通らない」
「体が大きすぎて安全性の面で運転免許の交付がされないのか」
「お腹がつかえてハンドルが握れなかったり、ブレーキに足が届かないからか」
などと思ったかもしれないがそうではない。
実は相撲協会の自主規制でそう決まっていて、運転免許自体はもちろん取得できるのである。
この相撲協会の運転禁止令の始まりは1985年のこと。
当時人気のあった水戸泉と蔵馬が相次いで交通事故を起こし、協会は十両以上の力士の運転を禁止にしたのだ。(ちなみに免許の更新はできる)
相撲のテレビ放送には延長がない?
よく野球やサッカーなどのテレビ中継で、試合が延長戦に突入したり、PK戦までもつれ込んでしまうと、放送時間を引き延ばしたり、切りの悪い所で終了してしまうことがある。
では大相撲の生中継はどうだろうか?
そう大相撲に限っては、取り組みが長引いて中継が途中で終わったり、逆に早く終わり過ぎて放送時間が余る、なんてことはほとんどないのだ。
これにはちゃんとした理由がある。
まず相撲の取り組みは時間が短いこと。
早ければ一瞬で勝負がつくし、長丁場になったとしても2~3分。
最も長いといわれている取り組みでも10分弱ほどだ。
そして取り組み以外の呼び出しや仕切りの時間の方が圧倒的に長いこと。
つまり大相撲の放送時間を、この呼び出しや仕切りを調整してうまい具合にきっちり収めている。
そのために設けられているのが「制限時間」。
これは力士が呼ばれてから軍配が返って立つまでの時間で、その制限時間までなら何回でも仕切り直しをしてもよいというもの。
ちなみに1928年に制限時間が設けられた際には幕内(10分)、十両(7分)、幕下以下(2分)と設定されていたが、1960年頃から幕内(4分)、十両(3分)、幕下以下(2分)と短くなっている。
この制限時間はラジオ放送開始とともに定められており、仕切りが長引いてお客を飽きさせない目的もあったのだが、放送時間をきっちり収めるという大きな理由もあった。
その後テレビ放送にも受け継がれ、今の大相撲があるというわけだ。
テレビ放送のために制限時間を調整するなんて、なんとも臨機応変な競技だといえるだろう。
大相撲の土俵にスルメやコンブを埋めるワケ
大相撲の土俵は場所ごとに呼び出しがあり、3日かけてみんなで作っていて、初日の前日には「15日間無事に場所が行われますように」と祈る土俵祭りがある。
そしてこの土俵祭りの中には「縁起物鎮め(えんぎものしずめ)」と呼ばれる行事があり、土俵の中央に穴を掘って御神酒(おみき)を注ぎ、その中に勝栗、昆布、スルメ、カヤの実、お米、塩を埋めるのだ。
これは土俵の神様へのお供え物で、場所中もそのまま埋められている。
また、あれだけ体格のよい力士が激しいぶつかり合いをするのだから「土俵を作る際の土も何か特殊なモノを使っているのだろう」と思うかもしれないが、使用されているのはいたって普通の土。
土俵の土の固さには決まりがあり「四股を踏んでも足跡がつかない固さ」だという。
土が柔らかすぎても踏ん張りがきかず危険だし、逆に固すぎてもいけない、実際に1998年の取り組みで土俵に穴が空いてしまったエピソードもある。
そんな土俵の固さを調整するときに大活躍するのが「ビール瓶」。
まずタコやタタキと呼ばれる道具で土俵の上を整えて、仕上げに空のビール瓶で表面を叩いたり転がしたりしてその固さを調整するのだ。
その他にもビール瓶は俵を作る際にも使用され、土俵づくりにとって無くてはならないものだといえるだろう。
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