女王のために、せっせっと花から蜜を集めたり、女王や幼虫の面倒をみたりと、何かと大忙しの働き蜂。
いわば財閥のご令嬢とお手伝いさんのような関係だ。
実は働き蜂は、すべてがメス。
働き蜂の仕事内容はアルバイトのように段階を分けて進んでいく。
まず羽化から2~3日目は巣の掃除を担当し、14日までは、花粉や蜜で作ったローヤルゼリーを女王に与えて、幼虫の世話をする。
その後7日間ほど餌を貯蔵する作業を覚える、それからやっと、蜜を集めるために外へと出かける。そこからわずか10日ほどで命が尽き、羽化してから一か月という短い生涯を全うするのだ。
冒頭でも話したが、働き蜂はすべてメス、ではオスの蜂は何をしているのか?
実は巣の中で何もせずに、メスから餌をもらってゴロゴロしている、いわば「ヒモ状態」だ。
このオス蜂、働きたくても働けない。
なぜならローヤルゼリーを作るために必要な花の蜜を集める口を持っていないのだ。
オス蜂の一番の大仕事は女王の子孫を残すことで、春先になると交尾を始める。
この交尾、巣の中でぬくぬくしているのかと思えば、そうではない。
一説ではオス蜂たちが猛スピードで外に出た女王を追いかけ、その中で女王にたどり着けるだけの体力をもったオス蜂だけが交尾できるのだ。これは女王蜂の種の保存本能であるといわれている。
またもうひとつの説には他の巣のオスを見つけるために女王は外に出かけるのではないかといわれている。
これは近親交配を避けるためで、より良い遺伝子を残そうとする本能だといわれている。
その後、悲しいことに交尾を終えたオス蜂は用済みとなり、巣にも戻れずに命を落としてしまう。
蜂の世界には過酷な競争があり、人間に例えたら、お昼のドロドロした長編ドラマが書けるのではないかと思えるくらいだ。
ニホンミツバチがスズメバチを撃退する驚きの方法
ひと昔前にテレビ放送されたミツバチハッチという主人公が母親を探す旅にでるアニメがある。
冒頭でスズメバチにコテンパンにやられることから、主人公のハッチはヨーロッパから輸入されたセイヨウミツバチなのではないかと推測されていた。
セイヨウミツバチにとって、スズメバチは天敵であり、日本のキイロスズメバチや大スズメバチは好んでミツバチの巣を襲う。
またヨーロッパにはセイヨウミツバチの天敵にはそこまで凶暴な種がいないことから、スズメバチに対抗する術を知らないという。
しかし、日本のニホンミツバチは違う。
この天敵のスズメバチを撃退する驚きの方法を身につけているのだ。
その名もズバリ「蜂球」。
まずスズメバチが巣に近づこうとすると、ニホンミツバチは一斉に腹を振って目くらましをし、けん制する。
それでも近づこうとしようものなら、あっという間にスズメバチを包囲して、ダンゴ状になる、これが「蜂球」と呼ばれている。
そして互いに小刻みに震え体温を上昇させて、46℃以上にもなる蜂球の中でスズメバチを蒸し殺すのだ。
スズメバチの致死温度は約47℃で、ミツバチの方は約48~49℃と少しだけ高い。
ニホンミツバチは自らの命を危険にさらして天敵を撃退する、なんとも勇ましい虫なのだ。
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