小学校や中学校のテスト当日に熱を出してしまったことはあるだろうか?
実はこれ、典型的な「逃避」と呼ばれる心理状態を表すのだ。
テストで悪い点を取ってみんなから笑われるという屈辱、先生や親に怒られたらどうしようという恐怖と不安、そしてテスト当日の緊張感などから逃げ出すため、行動だけではなく、体調までコントロールしてしまう逃避。
「私は逃避なんてしたことない」という人でも、仕事中にふと求人広告を眺めたりしたことはあるはず。
会社に苦手な上司がいたり、仕事がつまらないときに最も簡単な逃避行動は会社を休むこと、極端な例になるとその会社をやめることだ。
また「引きこもり」の原因のひとつにも逃避があると考えられている。
一歩外に出れば、毎日の満員電車、学校に行けばイジメや受験戦争、社会人になると出世争いが待っている、人は日々ストレスを受けることになる。
これらのストレスから逃れるために人は「引きこもる」という逃避をする。
また逃避がエスカレートすると記憶喪失になるケースもあるという。
犯罪を犯した受刑者は、確実な物的証拠や、目撃証言などがあるにもかかわらず、「自分は犯罪を犯していない、えん罪だ」と訴える人が多く、中には精神分析を信じ込ませてしまう場合もあるとか。
心の底から無罪であると嘘の主張をする人もいるそうだが、これも一種の逃避なのだ。
尊敬され過ぎるのは嫌われている証拠!?
心理学にはフロイトが発見した「反動形成」というものがある。
受け入れがたい事実や不安、恐怖などを感じた場合、それらが抑圧されて無意識下に追いやられ、まったく正反対の態度をとることを反動形成と呼ぶ。
例えばあなたが上司のAさんに対して強い嫌悪感を抱いているとする。
するといつのまにかその嫌悪感を否定するようになり、Aさんのことを尊敬しているような素振りを見せるようになる。
この「素振り」は、意識して「わざわざ、無理をして」するのではなく、Aさんに対する嫌悪感が抑制され、無意識の中にある。
さらに他の同僚がAさんに対して「Aさんって、性格悪いよなぁ」とか「女にだらしがない」などの悪口を聞いたりすると、それを徹底的に否定し、Aさんがいかに素晴らしいか説明しようとすることがあるという。
これは、彼らの意見によって、あなたの無意識下にある嫌悪感が刺激されることを抑えようとする防衛本能だといわれている。
フロイトはこの反動形成を、強迫神経患者の治療中に発見した。
しかし、上に書いたようにどんな人でも表れる可能性があり、もしあなたの周りに異常なまでにあなたのことを尊敬しているような人がいるなら、本当はあなたのことを嫌っていると考えたほうがいいのかもしれない。
「子供のため」は親のため!?
映画を見ていて主人公になりきり、窮地に陥ると歯を食いしばり、敵との戦いになるとギュっと拳をにぎりしまた経験はないだろうか?
これを心理学では「同一視」と呼んでいる。
人の仕草を真似ることを「模倣」というが、これと「同一視」が異なる点は同一視が無意識であるということ。
例えば子供たちはテレビの戦隊モノのヒーローの言葉づかいや仕草を真似することがあるが、これは意識してやっていることなので「模倣」。
しかし、映画館などで主人公に感情移入することは意識していないので同一視となる。
またこの同一視は教育の場でも表れるという。
例をあげると、親が自分の学歴に対してコンプレックスを持っている場合、自分の子供に極端に教育熱心になり、自分にはない高学歴をつけさせようとすることがある。
これは、親が高学歴となった社会的に地位の高い強者になった自分の子供を同一視ことによって、自分の劣等感を解消しようとしているのだという。
口では「お前のため」と言って勉強させ、一流の学校や会社に入れようとするのは、実は自分のためだったというケースがあるのだ。
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