記憶は失われる

終戦直後に起きた事件で、多くの謎を残した「帝銀事件」というものがある。

これは、東京の帝国銀行椎名町支店で、犯人が赤痢という大腸感染症と病気が広まったという嘘を告げ、予防薬として渡した青酸化合物を行員らが飲んでしまい、12人が死亡、4人が重体となり、当時の現金16万円と小切手などが奪われた事件。

犯人として逮捕された平沢貞通氏は裁判で一貫して否認し続けたが、死刑が確定。しかし、死刑が執行される前に1987年獄死した。

この事件には犯人を目撃した人が50名ほどいて、その内の34人は「平沢氏が犯人に似ている」、「同一人物だ」と証言をした一方で、「平沢氏は犯人ではない」と主張する人もいた。

実は記憶というものは、私たちが思っているほど確かなものではない。

せっかく覚えたことも、実はわずか30分で40%も消えてしまうのだ。

時間が経つにつれて、忘却は進み。24時間後には66%、3日後には75%、30日後には80%もの割合で記憶から失われてしまう。

また犯罪の目撃証言の中には、「役に立ちたい」「犯人を捕まえたい」という正義感から、都合の良いように作り変えてしまうことがある。

さらに、犯人とされる人物の写真を見せられたり、事件の背景についての情報を知ったりすると、それらの新しい情報が記憶に組み込まれて、自分の記憶を再構成することもあるという。

 UFOの正体は目の錯覚!?

フランス国立宇宙センターによると、過去50年間に報告されたUFOの目撃情報は1600件を超えるという。

これほどの目撃情報がありながらいまだにUFOの正体はわかっていない。中には「金星を誤認しているだけだ」と主張する人もいる。

目撃者によると「UFOはジグザグに移動した」というものが多い、仮に金星を誤認したとしても、なぜ動かないはずの金星がジグザグに動いて見えてしまったのか?

これは「自動運動」という心理現象が原因で、照明を落とした暗い部屋で、静止した光点をじっと見続けると、実際は動いていないにもかかわらず、光点が不規則に動き始めたように見えてしまう現象のこと。

目で物の動きを確認するためには、対称になる物体が必要で、それがないと人間の目は物の動きを正確に判断できなくなってしまう。

金星が現れるのは日没直後で、周囲にはまだ星がほとんどなく、先ほどの暗い部屋の光点と同じ状況になる。

そのため、まるで金星が動き出したように見え、UFOだと勘違いしてしまったのではないかといわれている。

 人面魚もただの錯覚!?

1990年代、週刊誌のフライデーが掲載したことよって一代ブームとなった人面魚。鯉の模様が人の顔に見えたため人面魚という名がついた。

歴史的にも、江戸時代に生まれたばかりのある子犬が人間そっくりの顔をしていて、人面犬の見せ物にしたところ大人気になったという記述もあるとか。

このように動物の模様や、顔が人の顔に見えてしまう現象を心理学ではパレイドリアと呼ぶ。

部屋の壁紙をじっと見つめていたら人の顔に見えてきたり、雲の形が大きな鳥や恐竜に見えたりするのもパレイドリア。

一度、人面や恐竜のように見えてしまうと、なかなかその錯視から逃れられないという特徴がある。

最も有名なパレイドリアとしてあげられるのが「火星の人面岩」。

これは火星探査機のバイキング1号が撮影した火星表面の写真の中に、人の顔のような岩が映っているとして大きく報じられた。

NASAはただの偶然といって取り合わなかったが、この騒ぎは収集がつかなかったため、高解像度カメラを搭載したマーズ・グローバル・サーベイヤーによって撮影された写真を公開して、人面岩が単なる岩であることを証明した。

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