CMに起用されるタレント

テレビ局では毎年タレント好感度調査を行っているが、上位にランキングされたタレントほどCMでよく見かけることは多いだろう。

これはメーカーや広告業界が心理学の「光背効果」を利用しているからである。

光背効果とは、心理学者のソーンダイクが発見した心理現象で、威光暗示とも呼ばれている。ある人が一部分に望ましい特徴や、印象を持っていると、その人のすべてが望ましく思えてしまう心理傾向になることを指す。

アメリカで行われた調査に次のようなものがある。

一般的に美人と評価されている(一部分が優れている)女子大生は、そうでない女子大生に比べて教授から良い成績をもらう傾向があったそうだ。

つまり、顔が美しいという特徴から、知性までも優れていると思われていた。

また、ある人物を紹介するときに、「彼は大学生です。」と紹介した場合と、「彼は優秀なお医者様です。」と紹介した場合を比較したら、後者のお医者様ですと紹介した方が身長がより高いという印象をもったそうだ。

社会的ステータスが高いという一部分の特徴が、身体的な身長の高さをも優れていると思ってしまったのだ。

冒頭で話したCMにタレントを起用する心理学においても、「あの人が使っているなら良いものに違いない」と思い込み、好感度の高いタレントを利用することで、一緒に紹介する商品に対する好感度までも上げてしまうというわけだ。

特にCMで紹介した商品に対して予備知識が無ければ無いほど、この光背効果はより強く発揮するといわれている。そのため新商品のCMに好感度のタレントを起用することはとても効果的なのだ。

負け惜しみの心理学

その他の心理学についてもご紹介。

イソップ童話の中に「すっぱいブドウ」というものがある。

これはお腹を空かせたキツネがうろついていると、たわわに実ったブドウがたくさんぶら下がっているのを見つける。

キツネは一生懸命ジャンプしてブドウを取ろうとするが、まったく届かない。するとキツネは「このブドウはすっぱくてまずいに決まっている。取れなくてよかったよ」と捨て台詞を吐いて去ってしまうという物語。

このように、手に入れたくても無理な場合、それが自分にとって価値の無いものと見なして諦めることを心理学では「合理化」と呼ぶ。

合理化をすることによって、不安や、欲求を抑えることができ、心の平安を得ることができるといわれている。

例えば、自分に好きな女性がいて、その相手が自分に全然振り向いてもらえない場合、「あいつは男を見る目がない」と考えたり、入社希望していた会社に落とされて、「あそこは給料が悪いから落とされてよかった」などと思ったりしたことはないだろうか?

ちなみにこのような合理化をした本人は、自分が合理化をしているという意識はないのが一般的なのだそうだ。

つまり、周りには負け惜しみを言っていると思われていても、本人はそのことに気づいていないのである。

しかし、負け惜しみを言うことで平常心を保てるのであれば代償としては些細なものなのではないだろうか。もしも、友達が負け惜しみを言っていたら、「心の平安を保っているのだなぁ」と暖かい目でぜひ見てあげてほしい。

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